【維新派】2016年に解散。松本雄吉が主宰した劇団「維新派」
劇団「維新派」は、松本雄吉(1946-2016)(熊本県天草出身)を主宰とした演劇集団で、2016年に主宰の松本が死去(享年69歳)したことで解散しています。
個人的には、2004年の大阪の南港で公演された「キートン」、2009年の「ろじ式」、2010年の「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき《彼》と旅をする20世紀三部作」を観劇したことがあります。
もう観ることができないと思うととても悲しく、3度という少ない回数ではありますが、とても印象に残る作品で、どの作品も素晴らしいの一言です。維新派のこれまでの作品と経歴をまとめてみましたので、維新派の素晴らしさを再確認できればと思います。
維新派とは?
維新派の作品は、セリフといえるセリフがなく、音楽と音、セリフとしても単語が解体され5拍子や7拍子のリズムに乗せて大阪弁で語られる「ヂャンヂャン☆オペラ」というスタイルを確立し、ほかの劇団と一線を画しています。
維新派の最大の特徴は、屋内ではなく屋外をメインとした演劇活動スタイルで、劇団員自らが、数ヶ月かけて野外に舞台を作る所です。その場所もかなり特異な場所で、私が最初に観た場所も大阪の南港にある野外公演でしたし、岡山市唯一の有人離島である犬島、和歌山の熊野本宮大社跡、びわ湖の水上舞台などで公演を行なってきました。ヂャンヂャン☆オペラと野外の舞台装置で行われる演劇スタイルは唯一無二と言えます。
野外公演を中心に活動を続けていることに関して、松本雄吉は以下のようにインタビューで答えています。
そうですね、やはり圧倒的に野外に建ててやるっていうのが面白いんですね。もちろん野外でやるとなったらあるのは風景だけで他は何も無くて、ゼロから発 想しないといけないですし、それにお金もかかるし、しんどいことはしんどいんです。でも自分達が100%モチベーションを高めてやろうと思ったら、野外で やらないと本気になれないというか。
ART COMPLEX(アートコンプレックス)アーティストインタビュー抜粋
さらに、国内だけでなく、ドイツ、イタリア、ブラジル、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランドなど海外でも野外の公演をしています。
以下は、維新派がこれまでに公演を行なってきた場所をGoogleMapでPIn留めした地図です。
維新派 公演地MAP
室内の劇場でも観劇し、限られた空間で観る維新派も良かったですが、やはり外の空気を吸いながら、迫力ある舞台装置がギコギコと動き出す光景は、屋内観劇にないものだと思います。
また、野外公演の時は、舞台の他に、屋台村も同時に作られ、食べ物や飲み物などが販売され、舞台と屋台村が融合した、1つの集落のようなコミュニティが形成されます。これも維新派の魅力の1つですね。
前述通り、維新派主宰の松本雄吉が亡くなったことで、2017年の最終公演「アマハラ」を最後に維新派は解散しています。
維新派の作品
維新派の公式Youtubeに過去の作品のPVが投稿されていますのでご覧ください。
維新派の作品「透視図」
旅をするように世界各地で野外公演を行ってきた維新派。10年ぶりとなった大阪野外公演は周囲に川が流れ、舞台の奥には大阪の高層ビル群を臨むことができる場所で開催された。ステージには一辺約5mの正方形の「島」が四列×四列の等間隔に並び、役者は「島」から「島」へ飛び移ったり、「島」の間を走り抜けたりと舞台を所狭しと駆け回る。
登場人物が実在の地名や都市名とともに、個人史や自己のルーツを語ることで、それぞれが”都市”に向けたまなざしが舞台上に表れる。
過去から現在へと流れる人々の記憶を重層的に浮かび上がらせ、都市論へと昇華させた作品。
維新派の作品「トワイライト」
伊勢をめざす旅に出た少年ワタル。奈良の山中で道に迷ったワタルは、不思議な生き物を見ます。導かれるままに辿りついた曽爾村で、ハルという腕白な子どもに出会います。2人は、村祭りで一緒に獅子舞を見たり、雨の中、秘密の洞窟を探検したり、ワタルは迷子になっていたことも忘れ、ハルと村中を巡ります。彼らを傍で静かに見つめているのは、成長して曽爾村を再び訪れたワタルです。
成長した彼もまた人生の岐路に立っていました・・・。
維新派の作品「呼吸機械」
「呼吸機械 《彼》と旅をする20世紀三部作 #2」 舞台近景画像 物語りの舞台は第二次世界大戦中の東欧。戦災孤児の少年カイ、アベル、イサク、そして少女オルガの4人は戦火の中をあてどなく彷徨います。地雷を怖れ、野草を食み、時には盗みを働きながらひたすら彼らは歩き続けます。そして彼らの前に現れるは旅芸人の一座…。
維新派の作品「MAREBITO」
物語はワタルの亡き母への手紙で始まります。 ほそい路地、トンネル、坂道。初めて来たはずのこの島に、なぜだかワタルは郷愁感を覚えるのです。 成長したワタルは、ヒルコやカイと出会い、ともに遊んだり喧嘩したりしながら、 “海の学校”で犬島のことや生き物のこと、そして、地球や人類の歴史を学びます。 ある日、教室に水が流れ込み、”海の学校”があっという間にアジアの多島海へと変わると、 ワタルはこの島が経験してきた、遠い記憶を知ることになります。
維新派の宣伝美術
画家・アートディレクターである東 學(あずまがく)さんが1997年から維新派の宣伝美術を担当しており、維新派の世界観を巧みに表現しています。
維新派のチケットや次回予告と一緒に届くポスターワークは素晴らしく、いつも届くのを楽しみにしていました。
松本雄吉対等特集上映&ポスター展@ポスターハリスギャラリー。維新派を知らず、チラシを見ていきなり観に行きましたが作品もポスターも美しかったです。ポスターの多くは(?)東學さんデザイン、福永幸治さん写真 pic.twitter.com/pCA6aYaI8v
— ネムーイ (@userMEeeee) December 3, 2016
維新派の作品を観るには
残念ながら、すでに解散してしまっているので、もう観ることができませんが、AmazonでDVDが発売されています。ですが、4,000円〜5,000円とDVDにしては結構高額です。もちろん、価格以上の価値があるので、問題ないです。
DVDで鑑賞するのも良いですが、おすすめしたいのは月額980円で維新派の作品を8作品観ることができる「演劇三昧」というサービスです。「演劇三昧」は、演劇作品の映像が観放題になるサービスで全国373劇団1281作品(※記事公開当時)を配信しています。
なので、維新派の作品だけでなく、小劇場演劇の演劇作品を中心に多くの演劇作品が鑑賞できます。維新派の他に、「劇団鹿殺し」、「阿佐ヶ谷スパイダース」などが登録されています。
この「演劇三昧」ですが、ユーザーの再生時間の割合に応じて劇団にロイヤリティをお支払いする「レベニューシェア」モデルを採用しています。各劇団の公演チケット以外の収入手段となっていますので、好きな劇団の作品を観ることで、その劇団を応援することができます。
おすすめですので、ぜひ登録してみてください!
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1983年三重生まれ、2008年京都造形芸術大学芸術卒業、三重(松坂)→埼玉(栗橋)→千葉(習志野野→八千代)に在住しています。
2010年「茂手木史展 “Paintings & Drawings、Performance….. 」トライバルビレッジ浅草(東京)、2010 「再生への変貌」 同時開催 路上身体表現 「人間の冥」 Art Gallary Enogubako(東京)、2011 「浮遊と粘着」 Nroom artspace(東京)にて個展開催。
現在は、都内の制作会社に勤務しWEB制作の業務を行いつつ、作品制作を行なっています。
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